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社内報のつくりかた

校正・校閲の鬼門 ~名前編~

2017.01.17

校正・校閲の鬼門 ~名前編~
  • #校正・校閲

校正・校閲で最も皆さんがミスするのは、商品や人の「名前」と業績やマーケットの「数字」です。

これだけは、印刷物なら間違えると必ず刷り直しになります。
今回は特に注意が必要な「名前」について、校正・校閲作業時の留意点を解説していきます。

「はしごだか」と「くちだか」の違い

2011年に公開された映画「ツレがうつになりまして。」で主人公のツレ(ご主人)が、お客様からのクレームの手紙にある自分の名前である「高崎」をみて、「髙崎」と名前の間違いを指摘するシーンがあります。

「お客様。私の名字のタカの字は、『くちだか』ではなく、『はしごだか』の髙なのです」

すると、お客様は、少し怒りながら、こういいます。
「そんなことは関係ないだろう」

そうすると、主人公は、このように答えます。
「関係あります。人の名前ですから。間違ってもらったら困ります。私は『くちだか』の高崎ではなく、『はしごだか』の髙崎なのです」

気になった方は、アマゾンプライムビデオで、無料で視聴する事ができますのでチェックしてみてください。

これは、校正・校閲の現場で一番陥りやすいミスです。「はしごだか」の髙崎と「くちだか」の高崎は、外部の校正・校閲者ではどちらが正しいか判断できません。

一方、「はしごだか」の髙は、いわゆる環境依存文字と呼ばれる旧漢字で、通常の変換では出てこない漢字です。そこで、多くの企業では、一般的な社内資料などでは、本人に了解をとった上で、「くちだか」の高で代用しているケースも多いのです。それらの代用した名前で作成された資料を元にして校正・校閲をしてしまうと、ほぼミスを発見することは不可能です。

しかし、映画のセリフにありますように、人の名前ですから間違ってもらったら困るものなのです。時には、その名前そのものが由緒ある漢字であるような場合には、点一つあるなしで大問題になったりします。例えば、渡辺(わたなべ)という名字でも、先程の環境依存文字である渡邊や渡邉といった文字を使う名字の方もいます。その文字でも、本当は、ここにもう1つ点を入れるとか、この“はらい”はウチではいらない。といった場合もあるのです。

 必ず本人に確認

このように名前というものは、実は結構センシティブな情報を含んだものです。ですから、必ず早い段階で本人に確認をすることが重要です。場合によっては、点や“はらい”を加減削除した文字を作字することも必要になります。

ワードでは表現することができない漢字を使った名前の場合には、デザインをする時点で、必ずデザイナーに作字の指示をしなくてはなりません。

作字した時には、PDFなどで正しく反省されない場合もありますので、そのままではチェックできないケースもでてきます。その際には、色校正を本人にみせてチェックしてもらいましょう。

このような漢字の名前で注意しなくてはならないのは、人の名前の他にもあります。地名や会社名、団体名などでも独自の漢字が出てきます。また歴史上の人物や城の名前にも注意しましょう。

次に漢字以外でも注意しなくてはならない名前があります。それは英語を含む外国語です。あまり見慣れない言語ですから、間違いがあっても気がつかないケースがほとんどです。英語はアルファベットのみですが、フランス語やドイツ語、イタリア語、ロシア語などは、アルファベットとは別に各々の特殊文字があります。

これも本人確認をしていただく必要があります。さらに注意しなくてはならないのは、名前の読みです。カタカナで表す場合に、濁音(だくおん)=「゛」、半濁音=「゜」、撥音(はつおん)=「ン」、促音(そくおん)=「ッ」、拗音(ようおん)=その他の音と「ャ」「ュ」「ョ」を加えた発音がありますので、どのような表記・表現が適切なのかを選択してもらうことが必要です。また、弦楽器のViolinのような「V」の音が入る名前の場合、「ヴァイオリン」とするか「バイオリン」とするかなどの表記統一も必要です。

このような時には、同じスペルの名前が、過去どのように表記されてきたかを検索してみればよいと思います。実際の発音とカタカナ表記されているものが微妙に異なる場合もありますが、日本国内では、その方が自然であるとされているケースもあります。そのような実例も上げながら、本人確認をしてみると、意外とスムーズに確認ができるでしょう。

最後に、取材などで、直接本人に確認できない時には、その窓口となっていただいた方にチェックしてもらいましょう。そうすれば、直接本人から返事をいただけなくても、名前のチェックをしたということで、責任の所在が明らかになります。

このような基本動作を身につけておくと、名前が違うといわれるミスは、ほぼ防ぐことができます。そうすれば、かなり安心して他の部分の校正・校閲に取り組むことができると思います。

今回は名前編をお届けしました。続きの数字編はまた後日お届けします!

 

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