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社内報のつくりかた

コンプライアンス対策と社内報

こんにちは!かわうそです。今回は「コンプライアンス」をテーマに考えてみたいと思います。そもそもコンプライアンスとは、一体何でしょうか?よく「法令遵守」という言葉に置き換えられることが多いものの、きちんと理解したうえで日々の業務に取り組んでいるか?私自身、胸に手を当てて考えてみると、まだまだ理解が浅い部分もあるような気がします。コンプライアンスの本来の意味や運用の問題点などを整理しておくと、社内報で企業倫理や内部統制に関連したちょっと難しいテーマもよりわかりやすい記事になるはずです。まずは会社生活に身近なテーマからコンプライアンスについて考えてみましょう。

コンプライアンスとは?法令遵守とは?

コンプライアンスという概念や考え方は、今では企業が取り組むべき課題として広く浸透していますが、もともとは1970~80年代にかけてアメリカで広まったのが始まりだそうです。ちょうどこの頃、アメリカでは企業の不祥事が相次いで起きたことから、企業の信頼性を高めるためにコンプライアンスや内部統制のフレームワークが構築されるようになりました。日本でも「コンプライアンス経営」の重要性から、社内に専門部署を設けたり定期的に社員研修を行っている企業も増えています。それにもかかわらず最近は品質不正などの不祥事が相次ぎ、ときには「炎上化」することもあります。一体何故なのでしょうか?もしかしたら「コンプライアンス対策は大事」と認識はしていても、実際は内部統制の仕組みが形骸化し、何のためのコンプライアンスなのかを社員がきちんと理解していないことが原因かもしれません。

たった一人の社員の間違った行動が企業への信頼を著しく損ねる危険性のある時代。そしてネットやSNSで情報が拡散することで信頼回復が難しい時代だからこそ、社内報でも継続的にコンプライアンスの重要性について取り上げ、社員の意識を高めていく必要があるのではないでしょうか。

コンプライアンスの本質はシンプル

私が以前勤めていたIT関連企業では、入社して研修初日の最初にコンプライアンスのレクチャーがありました。CEO自らが社員にむけてコンプライアンスの重要性についてのメッセージを語り、その後、担当者から細かい説明を受けました。もちろん、会社法や知的財産法、労働法など業務と関連する法律について法務部からのガイダンスもありましたが、日常の会社生活に関してもいくつかのルールがありました。

例えば、社内では常時携帯が義務付けられている社員証(IDカード) は、外出時は必ず外すというルール。社員証やネックストラップには、社名・ロゴマーク・社員の名前・顔写真などがプリントされていますが、そのまま外出したら、どの会社の誰なのか、見る人が見れば一目瞭然です。カフェやレストランで何気なく会社や仕事の話をするのは、いろいろな意味でリスクがあるから一歩でも会社の外に出たら言動に注意するとともに、社員証は一旦外し、社屋に入館する際に再び携帯しましょう!という指導を受けた記憶があります。

最初は「うわぁ~、なんて細かいんだろう!」と驚いたのですが、社内の様子を見ているとこのルールはかなり徹底されていました。皆がきちんと真面目にルールを守っているなら、自分も会社の一員としてちゃんとしなくちゃ!という気持ちになったのですが、もしかしたらコンプライアンスを徹底させるのは、こんな身近なところからスタートするのではないか…と思います。

確かに会社の一歩外に出ればどこで誰が話を聞いているかわかりません。迂闊に仕事やプロジェクトの話をしているうちに、自分では悪気がなくても、意図していなくても、気づかぬうちに自分が情報漏えいの原因だった…ということもあるわけです。出張の時に新幹線や飛行機のなかでパソコンをひろげて仕事をするときも、情報の取扱には注意が必要になります。ふだんの会社生活においても高い倫理観をもつことでリスクを予防できます。

コンプライアンスの本質というのは非常にシンプルなもので「法律で禁止されていることはしない」「社会通念に反することはしない」「会社の不利益になることはしない」「嘘はつかない、隠さない」ということに尽きると思います。こういう細かい点での行動規範でも、社員一人ひとりがきちんと実行できるような働きかけをしていくことも、社内報の役割のひとつだといえます。単にルールや規範を説明するだけでなく「なぜそれをしてはいけないのか?」「どうすれば会社の信頼性が高まるのか?」「ルールを守らなかったら、どんな悪影響が起きるのか?」といった理由も業務と関連する法律や法的根拠もあわせて社内報で紹介できれば、社員のコンプライアンス意識を高めていくことができるはずです。

行き過ぎたルールで組織が萎縮?

コンプライアンスの徹底で、仕事がやりにくくなった…という声も聞こえてきます。昔は電話1本の口約束だけでも仕事がうまく進んでいたのに、今は書類を作成して上長に決裁をもらう必要があり、さらには働き方改革で残業時間にも制約があるなか、業務が非効率的になってしまった・・・と思っている人も多いのではないでしょうか。「これ、本当に必要なの?」と疑問に感じる手続きが増えるばかりで、組織が萎縮してしまったということはありませんか?

私が勤務していた会社でも、人的なミスが原因で個人情報データに不具合が発生したことがあり、ミスを防ぐために担当者の作業を所属部署のリーダーがチェック⇒さらにもう1回管理職がチェックして承認するというダブル、トリプルのチェック体制を導入しました。確かに互いにチェックをしあうことはとても大切ですが、「チェック」そのものに時間や労力がかかってしまい業務が効率的に回らなくなってしまったことがあります。人手不足で忙しくなり繁忙期に入るとチェックもどうしてもルーズになりがちです。こういったマインドが蔓延してくるとモチベーションの低下にもつながります。

誰かのミスや間違いをチェックするだけではなく、そもそもミスが起こらないような業務の仕組みやプロセスとは何か?という視点で業務を捉え直すことで、より効率的に仕事ができるようになるかもしれません。コンプライアンスとあわせて業務の効率化、仕事の仕組みを変えていくことも大事です。

最近規則が増えてなんか面倒くさいなぁ…と思っている人もいるかもしれませんが、会社を守るため、会社の信頼性を高めるために必要なルールであることが理解できるような社内広報のあり方を模索していきたいものです。規則やルールの通達だけでなく、ルールの妥当性をわかりやすく伝えられるかどうかもコンプライアンスの記事を取り扱ううえで忘れてはならない視点です。

さらにもう一歩進んで、ミスを起こさないための業務改善やチェック体制、企業価値を高めるための業務プロセスのあり方とは何かを検証していくことも大事です。業務に関連する法律や法令にあった仕事の進め方について、社内報で取り組み事例を紹介しても良いでしょう。コンプライアンスの専門部署や法務部にも協力してもらい、関連法律や契約書の豆知識なども載せておくと営業部門の人にとっても役立ちます。

情報セキュリティとソーシャルメディアポリシー

ツイッター・フェイスブック・インスタグラムといったSNSは気軽に情報発信ができる反面、その影響力も大きく、さまざまな事件やトラブルも起きています。軽いノリで投稿したことが思わぬ反響を呼んで、凄まじい勢いで情報が拡散していくのを目の当たりにすることも多く、SNSの影響力の大きさは計り知れないものがあります。SNSの難しいところは、公私の境界線が曖昧な点にあると言われています。プライベートなアカウントでも業務で使用したり、投稿している内容も社員・従業員としての立場と、プライベートな立場とが入り混じっている人もたくさんいると思います。

例えば、職場や出張先で撮影した写真を投稿する場合も、社外秘の資料や他の従業員の姿が写り込んでいたり、知らないうちにフェイクニュースをリツイートして拡散していたり・・・自分の言動が思わぬところで会社の信頼や品位を傷つけているかもしれません。

SNSに投稿をする場合は、どこまで何を書いて良いのか、あるいは何を書いたらいけないのかというルールを設け、社内研修などを通して社員一人ひとりが理解する必要があります。社内報でもコンプライアンス研修の様子を紹介したり、良い事例や悪い事例を紹介しながら、気をつけるべきポイントをわかりやすく解説する記事を掲載するなど工夫してみましょう。

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個人のモラルと組織のモラル

コンプライアンスといっても、【1】会社の社会的信頼を損なわないようにするためにはどうした良いか?と 【2】実際に何らかの不祥事や何らかの違反行為が起きた場合にどのように対処すべきか、という2つのアプローチ方法があります。【1】と【2】の間に社内通報制度としてヘルプデスクのようなホットラインを設けている企業も多いと思います。

自分では悪いことだと認識していなかったことでも、会社の規定や法律上に反していることがあるかもしれません。また、違法ではなくてもやらないほうが良いことはたくさんあります。社員一人ひとりは正しいことが何かを認識していても、組織全体では正義よりも利益や利潤追求のために間違っていることも見て見ぬふり・・・ということもあり得ます。個人のモラルと組織のモラルのズレが大きければ大きいほど不祥事が起こりやすい土壌が出来上がってしまっています。

よくコンプライアンスの研修資料に書いてあるのが、自分がやろうとしていることは、家族や友人に自信をもって説明できるか?法律に違反していないか?後ろめたい気持ちはありませんか?という自分自身への問いかけです。

たった一人の社員の行動が会社全体の社会的信頼を失墜させることになりかねない・・・そんな時にこそ、個人のモラルと組織のモラルが乖離しないように働きかけていくのが社内報の役目でもあります。利益追求のために正義やモラルが犠牲になることのないよう、会社が目指していくべき方向を社内報でしっかり伝えていきましょう。

 

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