社内報のつくりかた
インナーブランディング
多くの企業にとって、従業員が蓄積してきたスキル、経験をいかに共有していくかは大きな課題です。一部の従業員に依存した経営体制では、長期的な成長が望めなくなるでしょう。そこで「ナレッジマネジメント」によって企業のブランドイメージを維持していこうとする企業が増えてきています。経営者ならナレッジマネジメントを正しく理解しておきたいところです。
この記事では、ナレッジマネジメントの概要を詳しく説明していきます。
従来は社員個人が持っていた経験やスキルに頼り、企業の利益を生み出していく経営手法が主流でした。こうした経営の背景として「個人の経験やスキルを共有する方法が見当たらないから」という理由が挙げられます。本来であれば、一部の優れた社員が持っているスキルを、ほかの社員に伝えていくほうが生産的です。しかし、個人のスキルは「感覚」「勘」といった可視化しにくい概念に裏打ちされているケースも多く、社員教育の弊害となっていたのです。
こうした伝授が困難とされていた経験・スキルを企業全体で共有し、新しい技術を加えるなどしながら、生産性を上げていく管理方法を「ナレッジマネジメント」と呼びます。
ナレッジとは「知識・知見」を表す英語ですが、日本語に置き換えるなら、長い時間をかけて職人や技術者が身につけた「暗黙知」が相応しいでしょう。暗黙知は当人に経験があってこそ、身につくものではあります。しかし、ナレッジマネジメントを徹底すれば、暗黙知を完全にとはいかなくても、従業員に深く理解させることが可能です。従業員の知識を覚えるスピードが速くなれば、企業全体の知識の総和量もふくらみ続けるでしょう。
ナレッジマネジメントとは、古くから日本の企業で採用されてきた手法です。しかしながら時代の変化にともない、さらに発展させた方法でナレッジマネジメントの重要性が注目されています。ナレッジマネジメントが必要とされている理由のひとつが「日本企業との相性」でしょう。ナレッジマネジメントはトップダウン型による導入が最適とされています。協調性に優れ、経営者の言葉に忠実な日本の従業員には、ナレッジマネジメントを教えるのが比較的簡単です。
また「年功序列の崩壊」という社会の傾向も見逃せないポイントです。年功序列ではなく、成果や能力を重視して人事が行われるようになった日本企業も珍しくありません。つまり、企業の管理職に必ずしもベテラン社員が就いているとは限らず、知識や経験の蓄積が難しくなりました。そこで、ナレッジマネジメントによる経験の共有が必須事項になってきたのです。
さらに「ビジネスのグローバル化」もナレッジマネジメント導入に拍車をかけました。世界的に経済が発達するスピードが加速し、従業員にも経験した以上の知見が求められるようになりました。ナレッジマネジメントは日本企業が国際化の波を乗り切るために有効な手段なのです。
導入にあたり、ナレッジマネジメントでは企業に合ったツールが必要です。まず「社内SNS」は比較的操作しやすいツールだと言えるでしょう。更新が気軽に行えるだけでなく、閲覧もしやすいのがメリットです。そのかわり、設定によっては複雑な情報を伝達することに向いていません。より多くの情報量をナレッジマネジメントにより共有したいなら「文書管理システム」が効果的です。クライアントに関する資料、マーケティングのデータなどは文書管理システムによって、社内全体で確認できるようになります。
操作性を意識するなら、社内共有ネットワークである「グループウェア」を使うのも得策です。グループウェアは企業の業務内容によって自由自在にカスタマイズできます。しかも、違う部署間の溝を埋めるためのコミュニケーションツールとしても役立つでしょう。さらに、営業支援の「SFA」、顧客管理の「CRM」といったシステムもナレッジマネジメントでは重要視されます。日々、営業担当者が行っている業務が細かく確認できるようになるため、能力の高い営業の思考をほかの従業員がトレースしやすくなるのです。
ナレッジマネジメントにおいて、専用ツールを使うと「社員のスキルアップ」が期待できます。さらに、暗黙知を蓄積するスピードが速くなり、経験値以上の思考やスキルを身につけられるようになります。また「業務の効率化」も大きなメリットでしょう。共有した知見も、スムーズに業務へと活かせなければ意味がありません。専用ツールがあれば、データ解析や資料作成などを容易に行えるため、日々の仕事が捗ります。
「顧客対応の精度向上」も挙げられます。従業員間で知見が共有されない限り「似たようなクレームが相次ぐ」「飛び込み営業の成功率が上がらない」などの問題は解消されにくいと言えるでしょう。ナレッジマネジメントにより大量の顧客情報が管理されていくと、顧客満足度を高めやすくなるのです。そして「ナレッジのリコメンデーション」を行う際にもツールが役立ちます。ナレッジを人の力だけで管理し、分析するのは至難の業です。ツールを操作すればナレッジを業務に活かせる状態へと整理できます。何より、ツールはシステム同士の連携を図ってくれます。部署間で別々のシステムを使っている場合は、なおさらツールが橋渡しとなるでしょう。
情報化社会では「ブランドコントロール」が非常に難しくなっています。少しでも企業のコンセプトに背いた経営を行ってしまうと、すぐに消費者から看破され、ネットで拡散されるおそれがあるからです。時代とともに、従業員がブランドイメージを強く意識しながら社内全体で同じ方向性に業務を進めていく必要性は高まっています。但し、従来の「ベテラン社員の経験やスキルに業務を委ねる」経営体制ではブランドコントロールは徹底できません。そこで、デジタルナレッジマネジメントによって一括での情報更新を図る企業が増えてきました。
専用ツールを用いたデジタルナレッジマネジメントを行えば、経営陣が下した決定がリアルタイムで社内に共有されていきます。企業の経営方針が常に同時代性を持ち、しかも消費者から反感を抱かれないように操作できるのです。企業のブランドコントールをすることはこれまでより容易になるでしょう。その結果「サイトの炎上」などの事故を防げます。炎上が起こってしまうとネガティブなイメージが浸透するだけでなく、根拠のない誹謗中傷まで拡散されるという「二次被害」にまで繋がりかねません。あくまでも健全なブランドイメージを保つために、ナレッジマネジメントの導入は大切です。
ナレッジマネジメントツールを活用することで、企業の知的財産を社内全体で共有できます。ベテラン従業員の脳内だけにとどまっていた「長年の感覚」が、若い従業員にも伝われば企業は飛躍的に成長を遂げることも可能でしょう。
そして、ナレッジマネジメントを導入した暁には社内報担当者も意識を更新しなければいけません。リアルタイムの情報はすぐに社内全体へと共有されるようになったわけで、紙面による社内報は「情報源」として遅すぎるとも言えます。メール配信、社内SNSによる配信など、形態を変えて発行を続けることも現実的な選択肢です。とはいえ、社内コミュニケーションを円滑にする社内報には大切な役割が残されています。担当者は時代に即した形で社内報をプロデュースしていきましょう。
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