社内報のつくりかた
はじめに
こんにちは!かわうそです。
IoTやAIの活用によって商品や技術の開発手法も変革を迫られるなど、企業を取り巻く環境も変わりつつあります。働き方改革も無駄な業務や残業時間を削減するという発想より、新しい時代のグランドデザインを見据え、未来からの視点にたってどのように業務の流れや仕組みをデザインするかということが重要なテーマと言えそうです。
さて、今回は「SDGs(持続可能な開発目標)」をテーマに取り上げてみたいと思います。SDGsの目標達成のためにさまざまな取り組みを推進し、自社のWebサイトで情報を発信している会社も増えています。社内報でも特集記事にまとめたり、社内の取り組み事例を継続して紹介することで、SDGsについて社員の理解や行動を促し、社内浸透を進めていくことができます。
SDGsについて積極的に取り組んでいる会社もある一方で、なんとなく聞いたことはあっても内容はよく知らないという人も多いはずです。そこで、まずSDGs(エスディージーズ)の基本的な概念について確認してみたいと思います。SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、日本語訳すると「持続可能な開発目標」という意味になります。2015年9月の国連サミットで全会一致で採択され、2030年までに持続可能な世界を実現するために17の国際目標が掲げられています。さらにその国際目標の下に169のターゲット、232の指標が細かく決められています。
17の目標をみていくと、エネルギー/イノベーション/生産・消費などの「産業活動」、気候変動/海洋資源/陸上資源といった「環境保全」、教育/ジェンダーの平等/不平等をなくすなど「人権」に関わること、貧困や飢餓をなくすための「途上国の発展と支援」といったグローバルな課題が挙げられています。詳しい情報は国連開発計画(UNDP)のWebサイトにも掲載されていますが、ここでは17の目標を関連性の高いテーマをまとめてグループわけしてみました(下図参照。項番・カラーはSDGsの項目に準拠) 。これからSDGsに取り組もうとスタートラインに立った時、下記のようなマップをつくりながら自社の事業と関連するテーマは何か、社員にとって身近なテーマとは何かを考える作業は重要です。
日本におけるSDGsの指針は、外務省のサイト JAPAN SDGs Action Platform にも詳しい記載があり、自治体や企業の取り組み事例も紹介されています。
SDGsで大切なことは「誰ひとり取り残さない」という考え方です。グローバルな課題を日々の事業活動とリンクさせ、どのような貢献ができるのかを考え、積極的に取り組んでいくことが求められています。
20世紀型産業は工業や製造業をベースに発展してきました。その結果、都市は発展し経済的にも成長しましたが、環境破壊や公害など負の遺産も多く残っています。環境保全の必要性から、エコ製品が開発されるようになりました。例えば大気汚染物質の排出を防ぎ、経済性にも優れている電気自動車は大きなマーケットに成長しつつあり、また環境関連技術への投資も盛んです。
SDGsの目標のひとつ「7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」では、具体的な行動指針として「すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」と記されています。目標達成のための時間はあと12年。事業のライフサイクルを考えれば、すぐに取りかからないといけない課題もあるはずです。2030年の視点にたって、課題を捉えてみることが大切です。いま改善すべきポイントを探るだけでなく、SDGsの目標達成のためにどんな技術やビジネスモデルが最適かを検証してみると、目指すべき会社の方向性・ベクトルも変わってくるかもしれません。
これまでもCSR(企業の社会的責任)の重要性から、人権・労働・環境に配慮した事業活動や社会貢献が求められ、各企業ではさまざまな啓蒙活動に取り組んできました。SDGsではさらに一歩進んで、国・自治体・教育機関・企業も含め全員参画型で推進していくことが求められています。CSRやSDGsという言葉を聞いたことはあっても、リソースに余裕のある企業ならではの慈善活動のように捉えていて、本業のビジネスとリンクさせて考える機会がなかった人も多いかもしれません。
今後はSDGsへの取り組みを積極的に発信していくことも求められるはずです。企業のトップから一般社員まで、SDGsへの認識や取り組み姿勢を一致させていく必要があります。社内啓蒙用のパンフレットを作成しているところもあると思いますが、社内全体にSDGsの考え方やアクションプランを浸透させていくためには、社内報が果たせる役割はとても大きいといえます。
SDGsに関する記事を社内報で詳しく取り上げたことがない場合は、まず社内報担当者が国連の公開している資料や外務省などのポータルサイトから情報収集をして、SDGsの考え方や他社の取り組み事例について理解を深めることから始めてみましょう。
17の目標について、前掲の図のように自社の事業と関連するテーマや課題をグループ分けしたり、自社の事業を通してどのような価値創造ができるかを議論しても良いと思います。こういった議論を通して会社の事業との関連性を明確にしておくと、自社の企業理念や成長分野をSDGsの考え方と関連付けてわかりやすい記事を作るのに役立ちます。
社内報では、SDGsがどれぐらい社内に浸透しているかの度合いによって、掲載する記事の内容も変えていく必要があります。
これからSDGsについての認知度を高めていく必要がある場合は、まずSDGsの概念をわかりやすく紹介することが大切です。座談会や勉強会などを開催し、SDGsの目標を自社の成長事業と関連付けて「持続可能な開発目標」にフィットするビジネスモデルについて議論し、社内報を通して理解を深めてもらうこともできます。
会社として積極的に取り組みが進んでいる場合は、特集記事にまとめて掲載したり、各部門での取り組み事例を継続的にフォローして紹介することもできます。記事を作るときは、SDGsのどのテーマと関連しているかを図やインフォグラフィックもバランスよく取り入れて、視覚的にもわかりやすい記事を掲載することで社員の意識も変わってくるはずです。
SDGsでは「目標8:働きがいも経済成長も」というテーマもあり、「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する」という目標が明確にされています。これは「働き方改革」とも関わりが深く、社員にとって「自分ごと化」しやすい身近なテーマです。「ビジネスの成長」と「働きがいや生きがいも大切にしたライフスタイル」をいかにして両立させるか、社員間で問題を共有することで会社を変えていくきっかけになるはずです。
SDGsの目標は2030年をゴールラインに設定しています。東京オリンピックから10年後。ちょうどこの頃に産業や経済の担い手となるのは、今日の子どもや学生たちです。中学生向けにSDGsへの理解を深めるための教材も作られています。これから入社してくる世代はまさに2030年の社会を担う人材なので、内定者や新卒社員にもSDGsの重要性や取り組みについて理解を深める研修も必要になってくるかもしれません。
一方で高齢化社会の到来で労働力が不足するため、どの世代の社員もSDGsへの参画意識を促すことも社内報の重要な役割です。SDGsの考え方が浸透するまでは、継続的に記事に取り上げるようにしましょう。時にはSDGsの指標と照らし合わせて、自社の達成度を検証する機会を設定しても良いと思います。今まで取り組んできたこと、これから取り組むべきことが明確に伝わるような記事になるように工夫していきましょう。
おわりに
SDGsというと何となく難しく高邁な思想のように感じてしまいがちですが、「みんなが幸福を感じられる社会をみんなで実現していこう!」というシンプルな考えに着地するようにも思えます。2030年のゴールにむけてすでに取り組みを開始している企業もあれば、まだまだこれからという会社もあるかもしれません。社内報でSDGsの考え方を紹介したり、自社の事業との関連性について地道に取り上げることからスタートしてみましょう。国際社会で一体となって取り組みが必要とされているSDGsの考え方を社内に浸透させること。社内報の使命のひとつとして、丁寧に取り組んでいきたいテーマです。
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