社内報のつくりかた
目次
社内報など、紙媒体の印刷物を作成していると思いもよらないトラブルに遭遇することがあります。
これらのトラブルの多くは、印刷の特性を理解してデータを作成することで回避することができます。
今回社内報などの印刷物作成で、よく有るトラブルの事例とその回避方法を紹介させていただきます。
この原因は、Web用で使用される「RGBカラーフォーマット」と印刷に適した「CMKYカラーフォーマット」の「色域」の違いにあります。
Web用で使用されるデータには、モニター表示に適した「RGBカラーフォーマット」が使用されます。 この「RGBカラーフォーマット」は表現出来る色の範囲「色域」が広く、鮮やかな色を表示することが出来るためWeb などのモニター表示などのデータで使用されています。
印刷用のデータには、印刷で使用されるインクやトナーの色に合わせた「CMKYカラーフォーマット」が使用されます。
「CMKYカラーフォーマット」は「RGBカラーフォーマット」に比べて、表示出来る「色域」が狭いため、「RGBカラーフォーマット」のデータから印刷をすると彩度の高い色が暗くなり、くすんでしまいます。
RGBの設定でR0・G240・B20の色を付けたオブジェクトを、CMYKの「色域」に変換するとかなり彩度が落ちて暗い色になってしまいます。(図1)
また、「RGBカラーフォーマット」データをそのまま一般的なプリンターで出力すると、プリンター毎の設定で自動変換されるため、変換された「CMKY」の値は、プリンター毎に違った結果となってしまいます。
「RGB」と「CMKY」の「色域」の違い自体を変えることは出来ませんが、印刷データ作成を開始する段階で予め「CMKYカラーフォーマット」に変換しておくことで、どの程度色が変わってしまうのかを事前に把握することができます。
「CMKYカラーフォーマット」に変換された時点で色は変わってしまいますが、この状態でCMYKの数値を調整することで印刷で表現可能な色範囲の中で色を調整して望む色に近づけることが出来る様になります。
Bk100%の文字やラインのオブジェクトの背面に画像や色が敷かれていた場合、その周りに白が出てしまうことがあります。これは、印刷時に4色の版の重なりがズレることで、「抜きあわせ」となっている背景との間に隙間が出来て白く見えることがその原因です。(図2)
BK100%オブジェクトの場合は、文字・ラインの「塗り設定」を「オーバープリント」にすることで、背景に対して文字やオブジェクトが重なって印刷される「ノセ」の状態となり、印刷時に4色の版の重なりがズレても白が出ることを防ぐことができます。(図3)
BK100%は印刷色の中でも最も濃い色なので「ノセ」となる背景色の影響を受けにくいのですが、「太い帯」や「大きな文字」で大きな色差がある場合には、背景色にの影響を受けてBK100%のオブジェクトにも色の差が出てしまうことがあります。(図4)
この様な場合は、BK100%にC・M・Yのいずれかの色を1%入れて、その縁に0.2~0.6mm程度のBK100%の「オーバープリント」を設定することで、縁部分のみがノセとなり、尚且つ背景とは抜きあわせになる為、版ズレの白を防ぎつつ、背景色の色差の影響を抜きあわせとして防ぐことができます。(図5)
この様に縁のみを重ねる処理を印刷業界用語で「トラッピング」と言います。
社内報などのデザインで「白抜き」で作成していた文字やラインが、印刷で消えてしまうトラブルです。
主な原因は、「白抜き」で作成するオブジェクトを「BK100%のオブジェクトから流用」することで発生します。
BK100%のオブジェクトは、前述の「印刷物良く有るトラブル3」の対策として「塗り設定」を「オーバープリント」の設定にしていることがあります。
この様なBK100%の文字や図形のオブジェクトをコピーして白抜き文字として流用した場合に、意図せずに元の「塗り設定」の「オーバープリント」が適用されてしまうことになります。
「白」が「オーバープリント(ノセ)」になるということは、背面に対して白=色0%の影響を与えるということになるので、結果として背景は「白」オブジェクトの影響を何も受けず、文字は消えてしまいます。
illstratorではウィンドウメニューの「属性」の「塗りにオーバープリント」か「線にオーバープリント」のチェックを外すことで、乗せになる効果を無くすこことができます。
InDesignでは、ウィンドウメニューの「プリント属性」で同様の設定をすることができます。
(最新版のAdobeCCでは、プリントやPDF作成の際に白のオブジェクトのオーバープリント属性が削除されるようになりました。)
BK100%のオブジェクトを流用する際は、属性の設定がオーバープリントになっていないかを必ずチェックする様にしてください。
この様に、印刷の特性を理解することで、トラブルを事前に回避するデータにすることが出来ます。
社内報ご担当者の皆さまも、データ作成をする際には是非ご活用ください。
今回ご紹介した事例の他にも、印刷物を作成していると様々なトラブルとなる要因があります。
次回も、社内報の制作で発生しそうな印刷トラブルの事例を幾つかのご紹介させて頂きたいと思います。
お楽しみに。
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