社内報のつくりかた
ユニクロを展開するファーストリテイリングが、「週休3日制」の導入を発表し話題になった時期がありましたね。介護や子育てと仕事との両立や、多様な働き方に対応するためで、地域正社員約1万人が対象となるそうです。数多くのヒット商品を生み出す一方で、従業員の労働環境について厳しい評価を受けていた同社が決断した新制度ですが、原則土日・祝日は出勤、週あたり労働時間は変わらないため1日あたりの労働時間は増えることから、既に賛否両論の意見が出ています。とはいえ、まずは導入に踏み切ったという点で大きな一歩だと思います。今後どう変わっていくか興味深いですね。
こんにちは、nocoです。
今回は、今後社内報でも取り上げることが増えそうなトピックス、社員の「働き方」をテーマに私の経験も踏まえてお届けします。
近年、政府による「ゆう活」推奨にも見られるように、「働き方」を見直す動きは活発になっています。
例を挙げると…
●デンソー、伊藤忠商事「朝型勤務」
勤務開始時間の前倒しとともに、午後8時以降の勤務を原則禁止。
●アルペン「週休3日制度」
1日は休養、1日はスポーツを体験する時間、1日は自己啓発として使えるよう、店舗社員を対象として導入。
●三越伊勢丹ホールディングス「休業日の設定」「短縮営業」
年中無休、24時間もしくは長時間営業が当たり前になってしまった現状で、社員をリフレッシュさせ、サービスの質向上につなげることを目的とし、一部店舗で休業日の設定や短縮営業を実施。
●リクルート・ホールディングス「在宅勤務制度」
一部グループ会社を含む約2000人を対象に、日数の上限を設けない在宅勤務制度を導入。
などなど、期間限定のフィジビリも含めると、大手を中心に多くの企業で何らかのアクションが起こっています。
実は私も6年程前、某編集部にいたときに「週休3日」を経験したことがあります。私が在籍していたエリア支社限定ではありますが、以下のような形で運用されました。
・土日祝とは別で平日に1日、好きな曜日を休日にできる
(ただし、定例会議などの曜日は避ける)
・業務ミッションは変わらず、給与も変わらない
・残業が増えないことが前提条件
(これに伴い、午後6時以降の会議は禁止)
・適用者は「休日が増えることで実現したいこと」を設定
(趣味や習い事、家族との時間、スキルアップのための勉強など何でもOK)
・毎週、上司と休日についての報告や業務効率化についての面談を行う
(フィジビリのため面談や報告が義務化されていた)
・3ヵ月(四半期)実施後、レポートを提出
・実施中は啓蒙ポスターを社内に掲示し社員全員へ意識づけをし、実施後は各自のレポートを冊子にまとめ、効率化のナレッジとして配布
当時私は、週刊誌のデスクを担当していました。発行日の月曜日は何かあった際に不在にはできず、入稿・校了がある木金は休めないので、週の真ん中の水曜をお休みとしました。
週休3日スタートにあたり、まずは関係各所への報告とご協力のお願いをし、不在時の連絡等について体制を整えました。具体的には、アシスタントや他チームに同報してもらい代わりに対応してもらうか翌日の対応になることを伝えてもらう など。そして、「残業が増えない」という条件を守るため、自分の業務効率についても見直しました。
例えば、「取材依頼は月曜日に終わらせる」「原稿確認は水曜日に送る」など曜日でやることを決め、今まで「何となく」一週で終わらせていたことをできるだけ決まったスケジュールに落とし実行しました。毎週上司との面談や報告書の記入があるのは少し負担でしたが、結果として「週休3日」はとても充実していました。
私のお休みの目的は「インプットを増やす」でしたが、夫婦共働きだったため、平日にいつもよりしっかり家事もでき(平日に家事ができない罪悪感が少なくなるだけでもストレスが減ります)、自分ひとりの時間が作れることはとても良いリフレッシュになりました。
空いているときに美術館や映画などに行くこともできるし、読みたい本をゆっくり読むこともできました。
土日は家事や家族との時間に取られてしまうことを考えると、同じ休みでもまったく違う意味を持ちます。半年間くらい週休3日だったので、週休2日に戻ったときは、「(勤務日の)あと1日何をしよう」という感じでした(笑)結局、その後会社の体制が大きく変わったため、全社制度としての実現はありませんでしたが、導入されていたら先駆的だったと思います。
さて、このときの経験を踏まえて思うのは、制度だけ作っても上手く行かないだろう、ということです。制度が形だけでなくきちんと機能する(=ES向上、パフォーマンスの向上につながる)ためには、いくつかの条件が必要になると思います。
①業務の見直しは必須
「休みを取る代わりに残業が増える」など、根本的な解決にならないのであれば意味がありません。業務量の適正化や効率化のナレッジなどを必ずセットで行う必要があるでしょう。
②社員の意識も変える
「残業している人が頑張っていると思われる風土がある」「制度はあるが実際は利用しづらい」など、長時間労働に対する悪しき風習がある場合は、この意識も変えていかなければ、せっかく制度を整えても「絵に描いた餅」です。特に、これから活躍してほしい若い世代にイキイキと働いてもらうためには、こういった雰囲気も変えていく必要があります。そのためには、社内報などのインナーコミュニケーションで、トップから繰り返し「制度の目的」「目指す目標」を伝えていくことが大切です。
③制度の有効性をきちんと振り返る
定期的にアンケートや面談などで、その制度の有効性を確認していくことが大切です。もし、想定よりも効果が表れていないのであれば、何が課題なのか分析をし、仕組みを改善していくことで、本来の目的である「パフォーマンスを上げる」ことにつながると思います。
④制度による効果を社員に共有する
そもそもの目的は「ES向上」とそれによる「パフォーマンスの向上」です。ただ「休みが増えてラッキー」「残業が減って楽」で終わるのではなく、それによって得られた効果や実績を社員にフィードバックすることは、さらに意識を高めることにつながります。例えば、社内報の臨時増刊号として「効率化メソッド100」「休日がもたらした効果実例」など成果をまとめるのもいいでしょう。
ちなみに、日本で初めて週休2日制を取り入れたのは、松下電器産業(現パナソニック)の創業者、松下幸之助氏です。初めて視察で米国を訪れた際「米国では週に2日休むのにもかかわらず日本の10倍給料を払っている。それでも会社は儲けている。1人当たりの生産量が10倍だからだ」と衝撃を受け、周囲の反発を押し切り、週休2日制を導入したそうです。
松下氏は「10分かかっていた電話は3分にしろ」など効率化を求めた上で、ただ休むわけではなく、休みの1日は自分を高めるために使う「1日休養、1日教養」という方針を示しました。海外企業との競争に勝つためには「十分な休養で心身の疲労を回復する一方、文化生活を楽しむこと」が必要だと確信していたのです。
その後、他の企業や官公庁でも導入が進み、日本の働き方のスタンダードになりました。
勤労意欲と能率の向上で世界市場での競争力をつけるために、かつて行われた「働き方」の変革。日本が世界と肩を並べて勝負することが当たり前になった現代、さらにグローバルな視点で企業力を高めるために、新たな「働き方」の転換期が訪れているのだと思います。
今、自社で変革の動きがあるのであれば、社内報でもそれを逃さずキャッチして下さい。
みなさんの会社の「働き方」はどうですか?
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