社内報のつくりかた
目次
とある会社でのできごとです。
始業早々、重役が社内報担当者のところにやってきました。手には昨日配布したばかりの真新しい社内報を持っています。
「出勤したら、これがゴミ箱に入っていた。捨てた社員のモラルもどうかと思うが、社員が興味を持たない社内報というのもどうなのだろう?会社は価値のないものに経費をかけられない」
こんにちは。
のっけから刺激的なお話をしましたが、これは決して誇張したものではありません。会社とは製品・商品・サービスといったものをお客様に提供し、それによって利益を追求するための組織。すべての活動はそこに帰結する必要があります。当然、社内報といえどもその例外ではありません。厳しいと思われるかもしれませんが、重役の指摘は正論なのです。
社内報は会社に直接的な利益を生み出しませんが、会社からの情報伝達や社内のコミュニケーション強化のツールとして、重要な役割を担っています。ですから、社員が積極的に読みたくなるような内容にする必要があるのです。そのためには、どのような企画を立てればよいのでしょうか。このことについて、順を追って説明したいと思います。
書店に並ぶ商業雑誌は、いずれも魅力的な企画がいっぱいです。
ともすれば、社内報に応用できそうなものもあります。ただ、社内報には、会社からの「情報伝達ツール」という側面と「社内コミュニケーションツール」という側面があります。実は、ここに両者の大きな違いがあるのです。
商業雑誌は発行目的や趣旨に沿ってターゲット(読者)を絞り、そのニーズに合った企画を立てています。これに対して、社内報は企画そのものを読者(社員)のニーズに一致させられるとは限りません。
読者である社員が興味を持っていなかったとしても、発行元である会社が知らせるべき情報は、載せなくてはならないからです。また、商業雑誌は読者同士のコミュニケーションをあまり重視していませんが、社内報は社員間の仲間意識を高める役割を担っています。
特に拠点が各地に分散している会社であれば、仕事上のつながりがなくても社内報が社員間の連帯を深める重要なツールにならなければなりません。
こういった社内報独自の特徴を知ることで、企画の有り様が見えてくるのです。
いうまでもありませんが、社内報にかかる経費はすべて会社が負担します。
それにかかわる人たちの人件費なども会社持ちです。すなわち、社内報は会社がお金を出している、言い換えれば会社がスポンサーということになります。ですから、スポンサーの意向に沿った編集方針に基づく企画を、立てなければならないのです。 それだけではありません。
会社とは「営利を求める組織」ですから、その行為はすべてが直接・間接にかかわらず、利益につながらなければならないのです。
確かに、社内報の製作費は「コスト」ですが、見方を変えれば「投資」なのです。要するに、最終的には「回収」されるべきお金だということです。社内報の企画の一つ一つが社内にどのような影響を及ぼし、それがどのように会社の利益につながっていくのかということを、常に頭の中に置いておかなければならないといえるでしょう。
先にも触れましたが、企画は会社からの情報伝達と社内コミュニケーションをテーマとして、組み立てていくのが基本です。
ただ、それだけではメリハリがない場合もあるので、サポート的な企画を各所にちりばめることも少なくありません。クイズ・マンガ・ランキング(コンテスト)・裏話などはその代表的なものといえるでしょう。
こういった企画は商業誌の企画などを参考にできるので、比較的手間がかからずおもしろい人気企画に成長することもあります。
ただ、時として落とし穴に落ちてしまうこともあるのです。一番多いのが「身内ウケ」です。さらに、プライバシーの侵害や会社の機密漏洩につながったような例もあります。サポート的な企画は、リスクについて必ず複数の担当者で中身を確認しましょう。
また、企画開始後は、読者である社員の反応をリサーチして、こまめに修正することが大切です。社内報も媒体である以上、読者である社員の支持を受けて読んでもらうことが大切です。
しかし、何度も触れてきたようにその使命は会社からの情報伝達であり、社内コミュニケーション強化のためのツールなのです。サポート企画はこういった使命を踏まえた上で、望ましいものを選択していく必要があると思われます。
人気のある企画、すなわち読まれている企画は、読者である社員に何らかのメリットのあるものが多いといえます。
例えば、会社の経営方針や幹部の考え方などは、社員にとって日ごろの業務を効率的に進めるために、たいへん重要な情報といえます。ただ、これを単純に文章として起こすだけでは、なかなか魅力のある企画にはなりません。こういった企画がウケないのは読者に具体的なイメージが、わかないことに原因があります。
言い換えれば、日常の業務と経営方針や幹部の考え方が、具体的にどのようにつながるかがわかりにくいということなのです。そこで、経営方針や幹部のコメントとともに、それを各部門長が自部門に落とし込んだものを同時掲載してみてはどうでしょうか。これなら、社員も自分たちの日常業務に直結した内容として理解しますから、興味を持つようになります。
あるいは、実際の業務で経営方針や幹部の考え方が生かされ、成功した事例を挙げてみるのもよいでしょう。メリットだけではなく、読まないとデメリットになるような情報なら、さらに精読率が上がります。前述の成功事例などはすぐにでも仕事に役立つので、読まなければ他部門や同僚に後れを取りかねません。
また、会社に導入される新たな仕組みや制度を説明する企画なら、知らないと業務に差しさわりが出てしまいます。こういった企画は、解説に加えて具体的な運用方法や運用しなかったときの問題点などを、図やイラストで示すとわかりやすくるでしょう。
会社を取り巻く情勢などに関する企画なら、対応が遅れたときに被る損害などを具体的に紹介できるとインパクトがあります。このように、メリット・デメリットを切り口にすると、お堅い企画であっても、読者の興味を引くことができるようになるのです。
読者に振り向いてもらうためには、読者が興味を持つ切り口を考える工夫が必要です。
先にお話しした「メリット・デメリットの切り口」もその一つです。また、ビジュアル化を進めることも大切でしょう。
文字よりも写真や絵・イラストのほうが、読むのに時間がかかりません。また、感覚的に訴えかけられるので、より強い印象を残すことができます。最近では、紙面に収まり切らない情報をweb上に移し、紙面のQRコードから社内サイトを閲覧できるようにしているところもあります。そこでは動画を使うなどして、情報量の濃さと豊富さで読者の関心を引くと同時に、その理解度も高めているのです。
社内報は伝達すべき情報を企画にし、その内容を分かりやすく掲載します。そして、読者である社員が企画の内容を理解・納得し、日々の仕事に役立たせるという流れがあります。この一連のプロセスを経ることで、社内報は役割を果たして完結しているように思えます。確かに、これだけでも一定の効果見込むことはできるでしょう。しかし、さらに大きな効果を得る方法があります。それは、広告のメディアミックスと同じような手法を用いることです。
例えば、広報誌で取り上げる企画をポスターなどにして社内に掲示するなど、常に社員の目に触れる状況を作り出すことも有効でしょう。部門長のコメントなどで、企画を絡めた話をしてもらうこともできるかもしれません。社内試験や研修の教材として、社内報で取り上げた企画を活用するという方法も、可能なのではないでしょうか。
このように、企画を社内報の中だけに留まらせず、社内のあらゆる場面で活用できるようにすることで、相乗効果が生まれて社内の周知徹底が図れるようになるのです。
社内報は発行すればよいというものではなく、読者である社員に読んでもらわなければ意味がありません。
そのために必要なのは単純に「ウケるだけ企画」をメインに据えるのではなく、「伝えなければならないこと」が伝わる企画を立てることです。
面倒だと思われるかもしれませんが、これが社内報の企画の良し悪しを決める、「キモ」だといっても過言ではありません。伝えるべき情報を、スムーズに受け入れてもらうためには、読者である社員目線に立って企画を考えなければならないということです。
いかがですか。
少し刺激的な内容だったかもしれませんが、社内報の企画の立て方について参考になりましたでしょうか。小稿が少しでも、日々社内報の製作に勤しまれている方々のお役に立てれば幸いです。
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