社内報のつくりかた
目次
「この製品はどのような目的で開発されたのですか?」
「この製品はお客様に喜んでいただけるように開発しました」
確かにそうです。でも、これだけの内容では魅力的な記事になりません。
社内報の記事を作るとき、インタビューは欠かせない要素です。これを上手に行って相手の本音を引き出さなければ、読者が興味を持つ記事を書くことはできないのです。インタビューをする側とされる側が気心の知れた間柄なら、まだ聞き出しやすいでしょう。しかし、多くの場合、そうではありません。かといって、プロの記者のように積極的に質問を投げかけるというのも、簡単なことではないのです。
それでは、どのようにすればうまくインタビューができるのでしょうか。そのコツをnishiがお話ししたいと思います。
社内報の担当者にとって、インタビューは重要な「本来業務(評価対象業務)」です。しかし、受ける側はそうではありません。いわば、+α的な位置づけになります。ですから、中には「面倒くさいな」とか「忙しいのにな」というように、あまり好意的ではないこともあるのです。また、相手が初対面である場合も、なかなかうまく本題に入れないことがあります。
インタビューの場でこれらを解決するには、なんといっても第一印象をよくすることです。それには、以下の手順を踏むとよいでしょう。
インタビューは新しいことを知るチャンスです。どんな出会いがあって、何を知ることができるのかということを下調べし、ワクワク感を持ちましょう。
ワクワク感があれば、自然にインタビューをすることが楽しみになります。その喜びを素直に出して自然な笑顔で挨拶をすれば、相手も笑顔になってくれます。
これまでの社内報や同じ部署の人から聞くなどして集めた相手の情報をもとに、現在の仕事や趣味などといった話題から入ります。個人情報が無理なら、部門のことを話題にしてもかまいません。
ただし、これらの情報はニュースソースを公開できることが前提です。人事情報など、個人情報保護にかかわるソースからの情報を使用するのはタブーです。
このような導入のインターバルは、インタビューに掛ける時間の10%程度が理想です。通常のインタビューは約1時間でしょうから、5分~10分程度が目安になります。
インタビューを受ける人は、基本的にそういったことに慣れていません。特に、役員クラスの方なら「社員の前で失敗はできない」というように、かなり肩に力が入ってしまうことがあります。ですから、インタビューをする上でそういった不安や障害となることを、事前にできるだけ取り除いておく必要があります。
そのために必須なのが、「インタビューの主旨と内容」の説明です。以下の内容を簡単な文書にして、一週間ぐらい前にインタビューの相手に渡しておくのが理想です。
企画の目的や内容に加えて、この企画を見た読者(社員)がどのように思うかということも大切です。
「なぜインタビューを行うのか」「このインタビューでどういったことを知りたいのか」「インタビュー内容をどのように記事に反映するのか」などです。
具体的なインタビュー内容・質問項目を箇条書きにします。注意事項として、回答に対する関連質問が加わることを、必ず伝えておきましょう。また、インタビュー内容に関する関連部門との整合といったことも、障害や不安につながることがあります。これは、インタビュー終了後に相手と必要性を相談し、責任をもって関連部署と調整するようにしましょう。
インタビューをされる人は、質問に対してストレート且つ素直に答えてきます。例えば、缶コーヒーの形を聞くと多くの人は「円柱」と答えます。しかし、これを「上から見れば?」とか「真横から見れば?」というように質問を変えると、「円」とか「長方形」といった回答を得られます。質問は一面的な視野からではなく、同じことでも様々な角度から尋ねることが大切なのです。そうすれば、全体像や本質が見えてくるので、記事に深みが出てきます。
インタビューは時間が限られています。また、相手は忙しい体です。できるだけ手っ取り早く終わらせるに越したことはないでしょう。だからといって、結論を急ぐのは問題です。
インタビューを会話形式で載せる企画であれば、必ずしも結論を必要とはしないのかもしれません。しかし、インタビューを基に記事を起こして物事を説明する場合、「起・承・転・結」の「結」にあたるものが必要になります。言い換えれば、「それ(インタビューのテーマになっているもの)がどういうものなのか」という疑問に対して、「こういうものだ」という結論が必要だということです。
結論はあくまで相手が出すことです。それを、インタビューをする側が勝手に出してしまっては相手に失礼であるだけではなく、思い込みで間違った解釈をしてしまう危険性が高まるのです。相手が結論を言わないのは、まだ説明を十分にしていないからであることが少なくありません。
結論を出してもらうように促したり結論を確認したりするのは構いませんが、勝手にまとめてしまわないように気を付けましょう。
インタビューを受けている人は、その分野の専門家ですから話の内容をよく理解しています。しかし、読者(社員)の多くはそうではありません。聞いた内容をそのまま掲載しても、難しすぎてわからないなどということもあるでしょう。
このようなときは具体的な例を挙げるのが一番です。「例えば?」と尋ねて、わかりやすい例を挙げてもらってください。複数の例があると、より理解しやすくなるのではないでしょうか。
また、インタビューアーが話を聞いていて理解できない場合も同じです。わからないことをそのままにすると、記事が書けなくなります。例を挙げてもらうことで、具体的なイメージがつかめるのではないでしょうか。
また、インタビューをされる人も「例えば?」と尋ねられれば、自分の話がまだ十分に理解されていないことに気づくでしょう。具体的に示された利用法や事例には、プロセスやオペレーションといったものも含まれるので、さらに深い質問もできるはずです。こういった積み重ねが、記事の深みにつながります。
インタビューが終わればあとは記事を書くだけですが、それで相手と二度と会わなくなるわけではありません。再び同じ人にインタビューをすることはないにせよ、同じ会社の人間ですからきちんとフォローをして、人間関係を構築しておくことが大切です。ひょっとしたら、その人から次のインタビューの糸口につながっていくかもしれません。
出会った時の「第一印象」は、インタビューを円滑に行うために必要なものです。それに加えて、別れ際やアフターフォローでよい印象を与えて社内報に対する理解を深め、円滑な関係を構築するのに大切なのが「第二印象」です。
「第二印象」をよくするためのポイントは以下の二点です。
にこやかにお礼を言うのは当然ですが、インタビュー内容のポジティブな感想を伝えると、さらに効果が上がります。今後の予定(原稿チェック・掲載日)なども、ここで伝えておきましょう。
記事は必ずチェックしてもらいましょう。相手の都合にもよりますが、入稿前原稿とゲラの二回程度が理想です。掲載後、読者の反応を調査して報告することも大切です。結果の報告は仕事の基本といえます。
「第二印象」をうまく与えることができれば、相手は社内報のシンパになってくれます。そこからよい口コミが広がることで、社内に快くインタビューを受けてくれる人が増えるのではないでしょうか。
以上、本音が聞きだせるインタビューのコツをお話させていただきました。ぜひ取材の際に参考にしてください。