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社内における人材育成は、社員の離職防止や企業の業績アップ、社員同士の円滑なコミュケーションなどを図るうえで重要なものです。しかし、人材育成は簡単に行えるものではないので、努力してもなかなかうまくいかないと悩んでしまうこともあるでしょう。人材育成が思うようにいかないのには、いくつかの原因が考えられます。
この記事では、人材育成がうまくいかない原因や、目標別の人材育成の仕方やそのポイントについて詳しく解説します。
人材育成がうまくいかない原因のひとつは、リーダー層の社員が人材育成に対して十分な自覚を持っていないためです。一般的に、中堅層やベテラン層の社員のなかで、若い世代のお手本となれるような有能な人が人材育成を行う担当者として選ばれます。しかし、この「お手本となれる有能な社員」は、本来自発的に知識やスキルを習得できるタイプの人が多い傾向があります。独学でも知識やスキルを身に着けることが得意なので、何かを学ぶために人から丁寧に教えてもらう必要はありません。そのため、自分と同じように「若い人もわざわざ教えてもらわなくてもできるはず」と考えてしまいがちなのです。
別の原因は、人材育成に関する企業側の整備不足です。人材育成にはそれなりの時間が必要ですが、研修や指導のための十分な時間を確保できていない企業がたくさんあります。すでに行っている業務と並行しながら、さらに人材育成も行うようにと担当者に任せるケースもあります。ほとんどの中堅層やベテラン層の社員は、すでにゆだねられている業務が多く多忙なので、人材育成に多くの時間を振り分けることができません。結果として、日々の業務に追われて人材育成がおろそかになってしまいがちです。
リーダー層の社員のマネジメント能力を正しく評価できていないケースもあります。人材育成を担当するリーダー層の社員は、人材育成に労力や時間を奪われるために一時的に業績が悪くなることもめずらしくありません。マネジメント能力をきちんと吟味しない企業は、そこでリーダー層の社員の評価を下げてしまうことがあります。本来は、リーダー層の社員の業績が一時的に悪化しても、若手社員の業績が上がっているなら、マネジメント能力が高いと評価するべきでしょう。
人材育成を成功させるためには、まず社内に人材育成に必要な環境を整えることが大切です。
具体的には、人材育成のために時間を取り分けたり研修場所を用意したりできます。人材育成の担当者が多すぎる業務に忙殺されないよう、業務量をバランスよく調整することも欠かせません。人材育成を担当するリーダー層のために、研修やセミナーを実施することもできます。それにより、若手社員を育成する方法を学ぶことができ、十分な心構えができるでしょう。若手社員をマネジメントするのに必要な能力も引き出すことができます。人材育成のノウハウに精通した講師を呼んで話をしてもらうほか、提携企業などで開催される外部のセミナーに参加するという方法もあります。
人材育成にあたっている期間中の、リーダー層の評価の仕方を見直すことも必要です。人材育成にまじめに力を入れるリーダー層の社員は、これまで通りの業務をこなしたり業績を上げたりするのは難しいかもしれません。一時的に業績が下がってしまうことがあるとしても、長期的な観点で見れば人材育成により全体として業績アップにつながることを覚えておきましょう。目先の業績のみで評価を下していては、リーダー層の人材育成のためのモチベーションが下がってしまいます。一歩先を見据えて、適切に人材育成を行っていることを評価するようなシステムを取り入れるなら、リーダー層も人材育成に力を振り向けやすくなります。
よりよい人材育成を実施するには、何を目指すのかをはっきりさせるために目標を設定することが重要です。人材育成の分野で掲げることができる目標には、主に次のようなものがあります。
1つ目は、社員の定着率を上げることです。新しく入社した社員は、入社前に抱いていたイメージや期待とのギャップから離職につながるケースが多くあります。社員の定着を図り離職率を低く抑えるためには、新入社員の不安を解消することが大切です。新入社員と積極的にコミュニケーションを取り、会社や日々の業務についてどのように感じているかを知ることは欠かせません。新入社員がコミュニケーションの場で自由に発言できるように、先輩社員との信頼関係を築くことも重要なポイントとなるでしょう。
2つ目は、業績をアップさせることです。そのために、新入社員に基本となる基礎スキルをきちんと習得させることで生産性の向上を目指せます。基礎的なことをおろそかにしたままの社員は、業務の効率が悪い傾向にあるからです。これを改善することで、資料作成などにかかる時間を短縮し、効率よく作業をして業績アップを図ることができます。
人口の減少や大学卒業後に進学する人の増加などにより、企業は優秀な人材を採用することが難しくなっています。それにより、やっと確保できた新人に加わるプレッシャーは増加しています。新卒であっても、できるだけ早く即戦力として働いてほしいと期待する企業が多くなっているのです。新入社員でも仕事をうまくこなさなければならない、失敗は許されないといった風潮が多くの企業で見られます。
新卒採用に向けて人材育成を行うには、OJTリーダー制度を機能させることが大切です。
OJTリーダーとは、新人の人材育成を行う担当者のことです。この制度をうまく機能させるためには、全社で一致して人材育成を行う必要があります。新人を育てる方向性や目標、育成計画が社内で一致しているなら、OJTリーダーは人材育成に取り組みやすくなります。育成計画がきちんと立てられていて成長度合いの目安が定められているなら、それに沿って育成を進めていき、節目で新人がどれだけ成長したか振り返ることができるでしょう。
さらに、OJTリーダーのみに任せてしまうのではなく、職場全体で人材育成に協力するという姿勢も大切です。それによりOJTリーダーは日々の業務にも人材育成にも取り組みやすくなり、新人も安心して仕事ができます。社内にOJTリーダーを支援するための体制を確立し、評価や報酬に反映させることもできます。
中途採用の場合も、他社への勤務経験を活かして企業を成長させるために中途採用者への人材育成を行うことは重要です。これまで異なる土壌にいた中途採用者は、異なるミッションや経営理念のもとで働いてきました。その意識のまま新しい会社でも業務を行うと、会社の意図するところや部署の目標とはズレが生じてしまうかもしれません。そのため、新しく企業の経営理念やミッションを説明して、はっきりと理解してもらうことは大切です。
日々行う業務に対しても、正しく理解してもらう必要があります。たとえ前職が同じ業界であっても、毎日の業務や社内のルールなどは異なることがあります。何を行う必要があるのか、自分の役割は何かをきちんと理解してもらうことで、スムーズに業務をこなして活躍してもらうことができるでしょう。新しい環境に馴染んでもらうために、社員との交流の場を設けることもできます。これまでの業務との違いや新しい人間関係の構築などで、中途採用社員はストレスやプレッシャーを感じているかもしれません。定期的に交流の場を設けて社員同士がコミュニケーションを取ることで、中途採用社員は戸惑いや焦り、ストレスを解消しやすくなるでしょう。
人材育成を行うには、長期的な目線と柔軟性が大切です。目標や対象に合わせて柔軟性のある人材育成を行えば、新入社員や若手社員も十分に力を発揮し、早い段階で活躍できるようになるでしょう。OJTリーダーには余分の時間や業務が必要になりますが、それを適切に評価する体制づくりも必要です。柔軟性のある人材育成を効果的に行うことで、企業の成長や業績アップに繋げましょう。
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