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社内報のつくりかた

リーガルマインド向上のために社内報でできること

2018.12.26

2018.07.26

はじめに

こんにちは!かわうそです。今回は社内報でコンプライアンスや企業法務に関する記事を取り扱う時のポイントについて、取り上げたいと思います。法律の知識は、日常業務で起こり得るトラブルを防ぐためにも役立ち、社会人として身につけておきたいスキルのひとつです。個人情報保護法や労働基準法は業務との関連性が深く、社内報でも法律をわかりやすく解説した記事を掲載してほしいというニーズも少なからずあると思います。しかし、難解な法律用語や社内に法務に詳しい人がいない・・・といった理由で社内報の制作サイドにとってもハードルが高い部分もあり、企画の候補にはあがるものの敬遠しがちなテーマでもあります。内容の正確性や客観性を確保しつつ、どのような記事の作り方がよいのか、考えてみましょう。

 

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 以前、私が広告宣伝担当として広報室に勤務していた頃、新聞掲載用の懸賞広告を制作したのですが、この時入社2年目にして初めて知ったのが「景品表示法」。何ともお恥ずかしい話ではありますが、懸賞広告やその表記についてもちゃんとした決まり(法律)があり、一定の制約のなかで消費者に響くメッセージを発信しなければならないことを勉強しました。特に社外に出す宣材物やキャンペーンの要件を決めるときは、誰かを不快にさせる要素がないか、表現に問題がないか・・・神経を使うようになり良い勉強になりました。

実際に営業部門の先輩が景品表示法で景品類に限度額が定められていることを知らずに、キャンペーンの景品にしてはありえないくらいゴージャスなものを発注しかかっていたこともありました。発注寸前に「これって??もしかして景表法でダメなんじゃない?」と問題が発覚した時、担当者全員顔が真っ青になった記憶がよみがえります。今となっては笑い話ですが、ビジネスに関連する法律を知らなかったことで大きなミスやトラブルに発展しかねないことって、意外に多いのではないかと思います。

  

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 企業の部門ごとに関係のありそうな法律を挙げてみると、会社法・労働基準法・個人情報保護法・独占禁止法・景品表示法・知的財産法・JIS法(工業標準化法) ・・・とさまざまなものがあります。これらの法律は、社会人なら誰でも名前ぐらいは聞いたことがあるはず。実際に日本には1,900を超える法律があり、銀行であれば銀行法や金融商品取引法、建設業や不動産、デベロッパーでは建築基準法や都市計画法といったように、業種ごとにより専門的な法律の知識が要求されます。企業活動はすべて法律と密接に関わっているといってもよく、「あ、そんな法律あったんですか??全然知らなかった・・・」では済まされないようなケースも出てきます。

グローバルに事業を展開している企業では、外国法も重要です。最近の事例でいえば、欧州経済地域(EEA)で施行されたGDPR(EU一般データ保護規則)への対応を進めているところもあるでしょう。自分の会社や業務が実際にどんな法律と関連しているのかを知るだけでも、業務への取り組み方が変わってきます。法律や法令を知らずに仕事を進めていると、大きなインシデントにつながることもあるので、業務に即した法律や法令をわかりやすく紹介するなど啓蒙活動をするのも社内報の役目のひとつです。

Business decision concept. Businessmen standing and giving advice with arrow pathway choice.

 

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 社内報制作の現場でも著作権や肖像権に配慮しつつ仕事を進めなくてはいけません。社内報に掲載する写真も細かくチェックしないといけない場合があります。例えば、社内イベントの写真に会社とは無関係の通行人や大きく写りこんでいたり、社員の旅行記に添える写真にアニメなどのキャラクターがメインになっていたり、そのまま写真を掲載しても問題ないか・・・など、細かくチェックすると気をつけなければならない点も少なからずあります。 

会社によっては、社内報で写真やイラストを掲載する際の取り扱いについて、著作権法や肖像権にも考慮しガイドラインを定めているところもあります。最近はSNSを積極的に活用したプロモーションや顧客とのコミュニケーションが盛んですが、ライトでカジュアルに利用できるSNSでは意外なところに落とし穴がひそんでいるかもしれません。知らぬ間に著作権を侵害していたり、逆に侵害されている可能性もあります。広報担当者としては、コンプライアンスやCSRの観点からも幅広い法律の知識が必要とされるので、部内でもリーガルマインドを身につけるための勉強会や研修を定期的に取り入れてもよいでしょう。

広報担当者の勉強会では法務部や企業内弁護士とも協力しながらいろいろな事例を研究したり、想定されるリスクに対して事前に気をつけておくべきことなどをヒアリングしてもよいと思います。もし、社内に法務部や顧問弁護士など法律に詳しい人がいない・・・という場合は、弁護士が監修しているサイトに掲載されているケーススタディにも役に立つものが多く、参考になります。

 

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 社内報で法律に関する記事を掲載する場合は、業務に関わりの深い法律の紹介だけでなく、社員にとって身近なテーマを取り上げると関心を持って読んでもらうことができそうです。例えば「会社の電源を使って、自分のスマートフォンを充電するのはOK?」「会社の販促グッズの在庫が大量に余ったので、取引先の人にノベルティとして渡しても良い?もったいないから私用に利用してもOK?」といった身近なテーマをクイズ形式で取り上げ、関連する法律や社内規程とあわせて紹介してもよいと思います。

最近は副業を認める企業も多いなか、就業規則の見直しや労働基準法との整合性もチェックしていく必要がありそうです。副業についてもどこまでがOKで、どこからがNGなのかという境界線やその根拠となる法律や社内規定を社内報でわかりやすく紹介し、社内倫理の基本姿勢を明確にしておくことも大切です。ニュースでも話題になっている「働き方改革一括法」や「高度プロフェッショナル制度」も総務部・人事部と協力しながら、働き方やライフスタイルそのものにどういった変化や影響があるかを特集記事として掲載することもできます。

そのほかにも、最近話題の民泊サービスと旅行業法、仮想通貨と資金決済法など、ニュース性の高い話題と関連法律を豆知識として紹介するのも一案です。

search enter button key on white keyboard

 

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 法律に関連した社内報のコーナー企画は業務だけでなく日常生活にも役立つので、連載をしている会社もあるかもしれません。これから記事の制作を始める場合は、事前の計画とリサーチが大切です。連載の回数・取り上げる法律とテーマ・ボリューム感(文字数)・執筆担当者・記事のチェック体制などをあらかじめ決めておくと作業が進めやすいと思います。毎回、取り上げる法律を変えるのか、業務と関連性が最も高い法律を深く掘り下げるのかによって、記事の作り方も異なります。

例えば、不動産や土地開発を行っている企業では、宅地建物取引業法や民法など業務と関連性の高い法律を取り上げることで、日々の仕事だけでなく宅建士の資格取得にも役立ち一石二鳥です。社内の法律エキスパート・法務部に協力を得ながら、十分にリサーチをして掲載記事(ネタ)のストックを確保しておきましょう。

会社の顧問弁護士にも協力が得られるようであれば、企画の段階から参加してもらうのがベストです。事前に社員から日々の業務や生活に関連した法律に関する質問を募集し、Q&A方式で専門家からコメントや解説をもらいながら社内報に掲載してもよいでしょう。

 

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 リーガルマインドを高めることは、日々の顧客対応にも役立ちます。私も営業部門でクレームの対応をしたことがあるのですが、会社としての見解や立場を示す際に「法的な根拠」もあわせて説明できると、お客様からの理解や納得が得られやすいという経験則があります。もちろん顧客にあわせた語り口が必要になりますが、不当な要求を繰り返す顧客に対しても、法律や法令で規定されているから会社として対応することはできないというスタンスを明確に示すことができれば、その場で話が収まるケースがほとんどです。社内報以外にも支店や部門内で発行しているお知らせやかわら版でも、クレーム対応のケーススタディとして関連する法律のポイントなどを紹介することもできます。社員にとっては顧客対応時の参考になるので、説明や提案の幅も広がり説得力アップにもつながります。

 

 おわりに

社内報で法律や企業法務をテーマとして記事を取り上げる際のポイントについてまとめてみました。難しいテーマではありますが、社員一人ひとりのコンプライアンス意識やリーガルマインドを高めることで、業務上のトラブルを防いだり、顧客と良好な関係を維持することにも役立ちます。あまり堅苦しく考えずに、まずは身近な話題や業務と関連性の深い法律を紹介するなど、工夫次第で親しみやすい記事になります。法務部や社内弁護士など相談できるエキスパートが身近にいない場合は、総務部の法務担当、営業や開発部門で契約業務の担当者に業務上留意していることなどをヒアリングしな がら、記事の制作を進めてもよいでしょう。
法的なトラブルや紛争が発生しないように事前に法的な措置を行う「予防法務」という考え方がありますが、事前に法律を知っておくことで回避できるリスクも多いので「リーガルマインドの向上」は社内報でもじっくり考えたいテーマといえそうです。

 

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