社内報のつくりかた
はじめに
こんにちは!かわうそです。
自分の新人時代を振り返ると「勉強になるから株主総会の準備を手伝ってこい!」と上司から言われ、総会に来場された方にお渡しする記念品や資料の封入などを任されたことを思い出します。
株主総会の重要な議事である決算の概要や事業報告などは、社内報でも取扱うことのあるトピックですが、例年決まった方法にのっとり、決まった様式で社内報に掲載している会社も多いと思います。私自身も「財務・経理部門から提供された情報・数字を間違いなく掲載するのが仕事!財務のエキスパートがまとめた資料・原稿は、絶対に手を加えてはいけない…」と教わった記憶があります。
今は企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の導入により効率のよい経営が求められ、社内報でもこれまでより一歩踏み込んで、財務関連の記事を取り扱う機会が増えているのではないかと思います。とはいえ、やはり専門性の高い内容で、どうしても難解なイメージが先行してしまうのが財務情報の記事。今、社員が知っておくべき、時代の流れに即した財務・会計関連の情報を取り扱うにはどうしたらよいのでしょうか?
突然ですが、自分の会社の売上高や利益がどれぐらいか、すぐに答えられますか?なんとなく、ざっくりは知っているけど、ふだんそこまで意識して仕事をしていない人も多いはず。広報の仕事をしていても、パブリシティやメディア対応などの担当であれば、最低限頭にインプットしておかなければならない数字ですが、会社の数字の取扱いに苦手意識を感じている人もいるかもしれません。決算発表のタイミングで財務情報を社内報でどう取り扱うか…悩んでいる担当者も多いのではないでしょうか?
財務3表-貸借対照表(BS)・損益計算書(PL)・キャッシュフロー計算書(CF)の内容は何かと難しいから、とりあえず数字の紹介にとどめておこう、下手に切り込んでいくのはやめておこう…というスタンスの社内報制作チームもあると思います。財務3表はよく会社の成績表と言われますが、数字を把握・理解することで自分の会社が良い成績なのか、これからどうしたら成績がもっと伸びるのか、苦手分野や弱点は何か?ということが見えてきます。
財務3表は「健康診断結果」と捉え直しても良いと思います。経営状態(健康)が悪化するような要因があれば、すぐに悪いところを改善し、健康かつ体力のある経営体質に変えなければならないからです。会社の経営状態が明確に数字に現れているのに、それが何を意味するのかを知らなければ、会社(身体)の健康を保つことはできません。
社内報に決算情報を掲載する際、財務や経理部門にデータの提供やサマリーを依頼している会社もあると思います。財務部門の作成した記事は数字のエキスパートであるがゆえに内容が高度で、経営企画部門やマネジメント層にはわかりやすいものの一般社員にとってはかなり難解に感じる場合もあるかもしれません。もちろんマネジメント層と一般社員とでは会社の数字の捉え方、分析の仕方も異なります。部門によって数字の着目点も違うので、そのバランスを考慮しながら財務情報をわかりやすく伝えるのが社内報の仕事です。
興味を持って記事を読んでもらうために、会社の数字が各部門の業務や一人ひとりの仕事とどうリンクしているか?という視点でとらえなおしてみることも大切です。例えば売上高や営業利益も社員一人あたりに計算しなおしてみると、会社の売上に自分がどれぐらい貢献しているのか、一般社員も身近なトピックとして感じられるはずです。一人あたりの売上や利益に換算しなおすとどれぐらいの値になるのか?社員が知っておくべき数字をクイズ形式で出題するなど、社員の関心を高めるためにやわらかめの企画も取り入れても面白いと思います。
株主や投資家を対象に、企業が一般に詳細を公表している決算情報などは「財務会計」にあたります。それに対し財務会計としてまとめられた会社の業績や決算情報を、製造・営業といった各部門の固定費や原価の削減など具体的な課題としてまとめたものが「管理会計」です。社内報では管理会計の観点で財務情報にアプローチしていくことも大切です。
財務会計としてまとめられた決算情報をきちんとした体裁で掲載しつつ、決算情報を現場の仕事にどのようにいかすかという管理会計の観点からも記事を構成し、会社の現状を数字で把握できるよう工夫してみましょう。
当該決算期に会社でヒットした商品やサービスがあったか、店舗数の増減など、会社の営業活動が会社の決算情報にどのように影響しているかをリンクさせて伝えるのもひとつの方法です。売上や利益の増減をもたらした要因や背景を知ることによって、自分の会社の強み・弱みが理解できます。部門ごとに社員一人あたりの収益性や生産性にまで落とし込んでみると、決算情報から改善すべき業務のポイントもはっきりしてきます。
会社によっては財務3表の構造や読み方を学ぶ研修を行っているところもあります。新入社員研修のカリキュラムに組み入れたり、外部から講師を招くなど、そのスタイルもさまざまです。私の場合、決算情報や業績に関する数字は、社内報も含め広報担当は理解しておくべきという方針から、部内のミーティングで管理職がポイントとなる数字を解説する決まりになっていました。業界ならではの特殊性や競合他社との比較から、自分の会社の経営状況を知ることができ、部内ミーティングという比較的リラックスしたシチュエーションも気軽に質問できるので助かりました。同じような取り組みをしている会社もあるかもしれません。
こういった財務会計や管理会計に関する研修や会社の数字を知るための取り組みを紹介し、数字で会社の状況や課題を理解するメリットを伝えるのも社内報の役目のひとつです。研修を受けた結果、財務情報への理解が深まることで、これまで以上に説得力のあるプレゼン資料や顧客への説明ができるようになったという社員の声や効果もあわせて伝えられると良いでしょう。
最近は、働き方改革にも関連して「仕事の効率化」や「業務の見える化」が課題といわれることが多いのですが、具体的な数字で指標や目標を設定すれば、その増減や推移、達成率なども明確になります。コストカットをどう進めるか、研究開発にどれだけ時間とお金がかけられるのかといった経営課題も会社の数字と関連付けながら、社内報で特集を組んでより深く掘り下げることもできます。
社内報で財務情報を扱うことになったものの「簿記や会計の知識がないからどうしよう!不安だ…」と感じている方は、記事をまとめるにあたって自分でいろいろな情報やデータを調べたるだけでなく、財務部門の人にも協力してもらい注目すべき数字についてアドバイスを受けるのも一つの方法です。
財務担当者に「決算情報を総括して、成績をつけると5段階評価でどれくらいか?」あるいは「健康診断で言うと判定は?」と素朴な疑問をぶつけても良いかもしれません。例えば「固定資産がかなり多めだから、ちょっとメタボ気味かも?」といわれたら「メタボ気味であれば、どこをどうしたらスリムになりそうですか?」といった雑談から、簿記や会計の知識がなくても財務諸表の数字を読み解くコツやポイントを見つけることもできます。業務を通して日々会社の数字を取り扱っている人のアドバイスで記事も構成しやすくなります。
また、社内報では財務情報だけでなくさまざまな数字を伝える機会がありますが、数字の変化、達成率などをわかりやすく表現する場合には、グラフやインフォグラフィックなども効果的に使って視覚的な要素もうまく取り入れてみましょう。
決算情報や財務情報を記事にする場合のポイントをまとめてみました。
おわりに
経済雑誌などでも会計や決算書の読み方などの特集が組まれることが多く、実際に手にとって読まれた方も多いと思います。私も企業の広報室に勤務している際、メディアだけでなく投資銀行の方からも決算情報などのお問い合わせが多く、ちゃんと勉強しなくちゃ!と日々感じながら過ごしてきました。数字は言葉以上に雄弁なこともあり、会社の動きや情勢を明確に伝えてくれる最強の武器と言って良いかもしれません。それぞれの部門や業務とリンクさせながら数字を捉えられると、会社の業績に対する自分の仕事の貢献度も明確になります。
数字に苦手意識を持っている社内報担当者も、財務や会計のエキスパートの力を借りながら、会社の数字を扱ったテーマにチャレンジしてみてください。「決算情報?内容が難しくてどうせわからないし…」と感じていた社員のマインドもガラっと変わるはずです。
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