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「ジョハリの窓」で知らない自分を見つける

2020.12.13

2018.11.29

組織やチームのコミュニケーションを円滑に進めたり、スムーズな人間関係を築いたりするには、自分自身の性格や能力についてよく知っておく必要があります。自分が他人からどう見られているか気になっている人もいるでしょう。そこで、自己分析に役立つのがジョハリの窓です。

ジョハリの窓は、自分ひとりで黙々と行う自己分析とは違います。ほかの人と一緒に、楽しみながら自己分析ができる方法です。チームで行うことで、お互いについての理解も深まります。そこで今回はジョハリの窓のやり方や活用方法、注意点について解説します。

ジョハリの窓とは?

ジョハリの窓とは、自己分析に用いられる心理学モデルの一種です。1955年のアメリカで、サンフランシスコ州大学の心理学者であるジョセフ・ルフト(Joseph Luft)氏とハリントン・インガム(Harrington Ingham)氏により考案されました。

ジョハリの窓は、自分が認識している自己と他人が見ている自己を、「開放」「盲点」「秘密」「未知」の4つに区分して分析します。

ジョハリの窓とは

「開放」とは自分も他人も知っている性質

「盲点」は自分では気付いていないものの他人は認識している性質

「秘密」は自分が知っていて他人が知らない性質

「未知」は自分も他人も認識していない性質

この4つの性質を、ちょうど格子のように4分割した図解が「ジョハリの窓」です。

自分自身で自分を分析した結果と、他人が自分を分析した結果を、それぞれの窓に当てはめていきます。自分が認識している自分の姿と、他人から見た自分の姿を分かりやすく図解していくことで、自分では気づかない自分を知ることができたり、コミュニケーションにおいて自分がどれだけ表現できているかを確認したりできるのです。一般的に、「開放」の窓を広げ、「未知」の窓が狭くなっていくほど、自己表現ができていると考えられます。

ジョハリの窓の実施方法

ジョハリの窓を作るには、第三者の協力が必要です。「自分から見た自分」だけでなく「他人から見た自分」の情報があって、はじめてジョハリの窓が完成します。実践する際は、お互いのことを知っていて、信頼できる5人~10人ほどのメンバーで行うと良いでしょう。ジョハリの窓には3通りのやり方があります。

1つ目は、その人の印象や性格な自由に記述するやり方です。この方法は特別な道具などは必要なく、筆記具があればすぐに実践できます。率直な気持ちを自由に表現できますが、評価の内容が性格だったり能力だったり、統一性にかけるのが難点です。
2つ目の方法は、性格や能力など複数の項目をあらかじめ作っておいたうえで、該当する項目を選ぶやり方です。この方法なら評価軸にばらつきが出ることはありません。
3つ目は、既存のシートやwebを使うやり方です。この方法も2番目の方法と同じく、評価軸は統一されますが、適切なシートやwebサイトを探すのが大変な場合もあるでしょう。

ここでは2番目の方法を実践する手順を紹介します。

①まずは2種類の用紙を用意しましょう。

②1種類目の紙は4つの窓と参加するメンバーの名前を記入するための用紙です。最終的にこの用紙に自分と参加者の評価を書き込み、ジョハリの窓を完成させます。

③2種類目の紙は自分と参加者の性格や能力を記載するための用紙です。集中力がある、我慢強い、ユーモアがあるなどの項目をあらかじめ書き込んでおき、適切な評価を選択します。ビジネスにおける能力開発のために使う場合は、リーダーシップやマネジメント能力など、専門的な項目を中心に記載しておくと良いでしょう。

④1つ目の用紙は1枚、2つ目の用紙を参加者の人数分だけ作成します。実施する際は自分を含む参加者全員に用紙を配りましょう。

⑤1枚目には自分の名前と、自分自身についての評価を記入します。当てはまると思う項目にはすべて丸をつけましょう。

⑥他の用紙には自分以外の参加者の評価を記入します。

⑦記入済みの用紙は、該当する参加者に渡しましょう。

⑧参加者全員の記入が終わったら、結果を集計し、ジョハリの窓に書き込んでいきます。

自分も他人も丸をつけている項目は「開放」の窓です。

自分が丸をつけず、他人が丸をつけた項目は「盲点」の窓に書き込みましょう。

自分が丸をつけて、他人が丸をつけていない項目は「秘密」の窓に該当します。

自分も他人も丸をつけていない項目は「未知」の窓です。

ジョハリの窓が完成したら、参加者同士で結果を見せ合いましょう。

 

ジョハリの窓の解釈

完成したジョハリの窓を見ることで、自分がどれだけ自分を表現できているかを知ることができます。他人から見た自分や、自分が気付いていなかった自分に気付くこともあるでしょう。まずは4つの窓のうち、どの窓に当てはまる項目が一番多いか注目してみましょう。

「開放」の窓に当てはま項目が多い場合は、自分の内面を他人にも分かるような表現ができているということです。逆に、当てはまる項目が少ないと、他人からは「よく分からない人」と思われている可能性があります。

「秘密」の窓に項目が多い人は、他人に分かるような自己開示ができていない人です。意図的あるいは無意識に自己開示をしておらず、自分の個性を十分に表現できていません。意識して自分を表現することで「秘密」の窓にあった項目を「開放」の窓に移すことができます。

「盲点」の窓に項目が多い人は、自己分析ができていない可能性があります。ジョハリの窓を通して自分自身を理解し、受け入れていくことで「盲点」の窓を狭め「開放」の窓を広げていくことができるでしょう。

「未知」の窓に当てはまる項目は、自分も他人もまだ気付いていない性質です。新しいことに挑戦したり、経験を積んだりすることで開発されるでしょう。今後、自己開発を進めていく段階で、「未知」の窓から別の窓へ項目が移っていく可能性も十分にありえます。

 

ジョハリの窓の活用方法

ジョハリの窓の分析結果は、自己理解に活用できます。1つ目の活用方法は「見える化」です。「自分で見ている自己」と「他人が見ている自己」を知ることで、自分への理解を深めることができます。自分の行動や考え方の傾向を知ることで、自分の能力を効果的に発揮する方法が見えてくるでしょう。また、他人からのフィードバックを素直に受け入れることで、自分が知らない長所と短所を認識することも可能です。「盲点」の窓には自分が気付いていない自分について書き込まれています。そこには良い項目もあれば、悪い項目もあるでしょう。悪い項目があれば意識して矯正することも可能です。また、良い項目はさらに伸ばしていくことで「開放」の窓を広げていくこともできます。

 

ジョハリの窓の注意点

ジョハリの窓を実践するにあたり、いくつかの注意点があります。ジョハリの窓は人の性格や能力を開示する分析方法です。そのため、人によっては強いストレスを感じたり、コンプレックスに関わったりするケースもあります。無理な参加は求めないようにしましょう。

また、調査に使用する項目は、できるだけポジティブな内容を心がけることも重要です。例えば「暗い性格」のようなネガティブな表現はせず「控えめな性格」などと表現するなど、できるだけマイナスの印象を与えないようにします。表現を工夫することで、参加者も精神的な負担を感じにくくなり、率直な意見を出しやすくなるでしょう。また、評価された本人がショックを受けるような事態も避けられます。

 

楽しみながら未知の自己発見

ジョハリの窓は自己への気付きを促したり、円滑なチームのコミュニケーションの方法を模索したりするために最適な方法です。社内報にジョハリの窓のやり方を掲載するなど、社員が自主的に楽しみながらできるような工夫をしましょう。

 

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