
社内報のつくりかた
2017.02.01
校正・校閲作業で注意すべきポイントとして、商品や人の「名前」があります。名前の次に間違えてはならないのは、業績やマーケットの数字です。
先日は「名前」についてお伝えしましたので、今回は「数字」について、校正・校閲作業時の留意点を解説していきます!
数字は間違ってもらったら非常に困るものです。なぜなら、数字は名前と同じで正しいもの以外は全て間違いだからです。
数字は0から9までの10個の文字の組み合わせですから、チェックするのはそんなに難しくはないでしょう。ただし注意しなくてはならないことがあります。
それは「単位」です。企業の業績を示す場合、千円単位か、百万円単位かによって、同じ数字でも1,000倍の違いになります。ですから原稿にある数字を資料と付き合わせてチェックする際には、その数字の単位を確認することも大切です。
更に単位によっては、換算する必要が出てくる場合もあります。例えば、海の長さの単位である海里は、地球上の緯度の1分に相当する長さで1852mです。国際海洋法条約で定められている領海は、海岸の基線から12海里とされていますが、これを換算すると、約22.2キロメートルということになります。このように独特な単位が使われている資料を元に原稿をチェックする時には、一般的に使われているメートル法等に換算した方が、数字の間違い等に気がつきますので、必ずやってみましょう。
同じ様に換算した方がよいのが、為替です。ユーロやドルなどは、ニュース等でもよく流れているので、概ね円に換算してどの位というのは見当がつけられますが、それ以外の外国通貨の場合には、原稿で表記する必要性がなくても、一度換算して原稿の内容に適した数字であるかどうかを確認してみましょう。
最後に、これは私の経験ですが、英文の資料を元に原稿のチェックをする際に、「Billion」と「Million」を読み間違えてしまいました。「Million」は百万なので、日本でもよく使われる単位なのですが、「Billion」となると10億となるのです。MとBは注意していないと、意外と読み間違えてしまうものなのです。このように「Billion」と「Million」を間違えたことがありました。
次に、10億という単位は、日本ではあまり使われていないことから間違えたこともありました。日本では、億と使って数字を表現する場合は、●億というのが一般的です。ですから、注意しないで数字を眺めてしまうと、見慣れない英文の資料の中で、「Billion」を10億とは換算しないで億と換算してしまったのです。
たかが数字、されど数字です。このようなさまざまなポイントをみて、間違いがないかどうかをチェックしてください。
原稿の内容も含めた校正・校閲をするために、書かれている内容の最新情報を必ず確認しましょう。
人の名前では、部署異動や昇格などによって肩書きが変わっていたり、異動予定がわかる場合には、その肩書きに合わせるようにします。
数字についても、最新情報で更新されていれば合わせるようにします。また、参考にしているデータや統計などが1年以上前のものであれば、最新のものがインターネットなどで公表されていないかどうかも確認しましょう。そして、原稿に書かれている内容と最新のデータや統計の結果に、齟齬がないかどうかもじっくりとみておくことが大切です。
例えば、市場が拡大していると原稿では書かれているが、最新のデータや統計では横ばいになっていたとすれば、その表現がそのままでよいのか、多少でも表現を調整した方がいいのかを判断します。さらに5年毎位に調査している国のデータや統計に関しては、最近のその他のデータや統計を調べてみて、その期間内に傾向が変わっている場合もありますので、同様に表現の調整をすべきかを判断します。
さらに最新情報で見ておきたいのは、原稿で書かれている内容と最近のメディアの報道で、全く別の方向の意見が出ていないかどうかという点です。別にメディアの報道におもねる必要はありませんが、そのような意見が出ていることに対する対策を考えておく必要があるでしょう。
例えば、原稿の中では、太陽光発電について詳しくその優位性を説明していたのに対し、メディアの方から太陽光発電の経済性などについて疑問符を打つような報道が出た場合、報道の内容を踏まえて、その反論をさりげなく付加したり、その報道の内容を加えて、そのような意見もあることを紹介したりするようにします。そうすることで、原稿の内容に厚みが増すばかりではなく、メディアの報道をみた社内外の指摘に備えることもできます。
この辺までくると、校正や校閲の領域を飛び出してしまうかもしれませんが、時間があるのであれば、このように広範囲のチェックをしてみましょう。
校正・校閲といえば、単純に資料との突き合わせをしていく、単純で退屈な作業のように語られることが多いものです。しかし様々なチェックポイントがあるばかりではなく、最新情報と見比べて、原稿の内容が現在の状況に即したものになっているかどうかまでみていくと、実に深い部分までを含んだ編集作業の重要なパートなのです。
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