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社内報のつくりかた

「ダイバーシティ」を理解していますか?

「ダイバーシティ」を理解していますか?

2015年8月6日に女性活躍推進法案の審議の場で起こった「女性扱いにくい発言」が物議をかもしていますが、「女性への配慮を欠いた発言だ」という多くの批判側の立場で見ると、「こういう考えがダイバーシティ推進の妨げになる」と飛躍しそうです。確かに発言自体は配慮が足りなかったと思いますが(というか、そもそもセクハラを引き合いに出すことがどうかと…)、私はこの発言を賛否ということではなくて、別の視点で注目してみました。

こんにちは、ディレクターのnocoです。今回は、このニュースをきっかけに、「編集者の情報の捉え方」について考えたいと思います。編集者の情報の捉え方には、いくつかポイントがあると思います。社内報の企画にもよくある「女性活用」「ダイバーシティ」を題材に、私自身の経験も踏まえてお伝えします。

言葉の意味を正しく理解する

そもそも、「ダイバーシティ」の意味を理解していますか?単語自体の意味は「多様性」です。生物多様性などと使うことも多く、さまざまな「種」が存在している、共存していることを指します。
一般にビジネスの現場で語られるとき、「ダイバーシティ=女性活用」であることが多いように思います。しかし、女性活用は、ダイバーシティの一側面にすぎません。本来は、人種や国籍、性別、宗教、生活スタイル、価値観などの違いに限らず、さまざまな人の多様性を認め合い、活用することで広く多角的な視点で事業を成長させていくという考え方のことです。

「それくらい知っている」という声が聞こえてきそうですが、では、ダイバーシティをテーマにした社内報の企画を立てるとき、何も考えずに「活躍している女性を紹介する記事」や「ワーキングママのインタビュー」などを作っていませんか? この企画がダメだと言っているワケではなくて、自社についてのダイバーシティを理解した上で作っているのか、が重要なのです。ダイバーシティは経営課題のひとつです。ダイバーシティ推進の目的、課題、目指すゴールなどによって、同じテーマでも企画が変わってくると思います。

もし自社のダイバーシティの明確な中身がわからないのであれば、ぜひ経営トップの方たちに聞いてみてください。

リアルを大事にする

今から8年ほど前、当時編集者をしていた女性向け情報誌で、企業のダイバーシティ・マネジメントを支援するNPO法人の理事長に取材をしたことがあります。その時のインタビューの言葉は、今でも印象に残っています。

「今までの日本企業は、同じ文化・環境で育ち、同じような価値観、体験を持つ男性たちが集まって発展してきた。しかし、グローバルな競争に勝つためには、新しい視点、イノベーティブなアイデアを持った人たちが必要になる。その最初の一歩として、一番近いところにいて、言語も文化も同じ、でもこれまでの体験や価値観が違う女性を活用する。いわば、企業が多様な人材を活用できるかどうかの、最初のリトマス試験紙だと思う」(要約)

字面でしか理解していなかった「ダイバーシティ」を、実際に女性で大手外資企業の取締役も務めた人の口から聞くことで、一気に視野が広がりました。また、「女性活用のその先」を意識することで、女性活用に見られる課題の解決策は次のステップ(例えば外国人雇用)でも有効なのか、女性の管理職数が増えたからといって成功なのか、など、女性活用というテーマの見方も変わりました。

今や、ネットで検索すれば膨大な情報を手に入れられる時代です。でも、そのほとんどは誰かによって編集されたもので、中には歪曲されたものもあります。もちろん正しい情報もあり、この利便性を活用するのはひとつの方法ですが、リアルな取材や声からしか得られないことも多くあり、同じ会社の社員に向けて発行する社内報というメディアでは、この点を大事にしていただきたいと思います。

一歩引いた視点で考える

さて、冒頭で触れた「女性扱いにくい発言」ですが、私は、この発言自体ではなく「こう思う人がいる」ということに着目しています。もっと言うと、「こういう考えの人はある程度の割合でどの企業にもいるだろう」と思います。例え、発言に配慮することで表向きは蓋をしたとしても、思考としてあれば、それは必ず何らかの形で現れます。

大事なのは、「考え方を変えさせる」ということではなく「こう考える人とどう協働していくか」ということではないでしょうか?もちろん、少しでも理解を深めるための研修や教育は必要です。しかし、この考えを持つ人を全員強制的に排除することはできず、この考えが世代によるものだったとしても、完全に世代が移行するまで待っていてはビジネスのスピードに乗り遅れます。ただ批判することは簡単ですが、「前に進むためにはどうすればいいのか」を考えなければ、同じことを繰り返すのではないでしょうか。

前出の編集部時代、少し視点は違いますが、こんなテーマで記事を作ったことがあります。

『男性から見た「働く女性」とその本音。女性の活躍は本当に歓迎されているの?』

何度も「女性活用」の記事を作るうちに、トップダウンで突然女性が上司になったことを男性部下はどう思っているのか、女性のキャリアを継続させるために産育休取得を推奨しているもののフォロー体制は機能しているのか、他のスタッフ(特に男性)への負担は増えていないのか、など、もともとビジネスの中心にいた男性の本音が気になったのです。

そして、女性自身が本当に活躍を望んでいるのか、それが行動に表れているのか、それを男性側の視点から探りたかったのです。

この記事では、①企業への女性活用の状況についてのアンケート ②男性への「職場の女性」に関するアンケート ③女性部下を持つ管理職への生インタビュー ④女性上司をもつ男性の座談会 という方法で「会社」「同僚」「上司」「部下」というそれぞれの視点から見た「女性活用」のリアルを調査しました。

結果、女性活用は「時代の流れとして当然だと思う」「社会全体で応援すべき」という意見が圧倒的で「能力の高い女性が活躍していくことに抵抗はない」と、概ね受け入れられているものの、キャリアを受け止める女性側の課題も見えました。

この記事は、読者にも好評だったのですが、社内の男性から「こういうのが読みたかった!」と強く言われたり、取材や座談会が盛り上がったのをよく覚えています。また、女性読者も「男性からどう見られているか」ということは気になっていて、冷静に課題を受け止めている印象の感想を多くいただきました。

このときに、少し引いた視点、違う角度から見ることの大切さ、またそうしたことで生まれる企画の面白さを実感しました。

「情報慣れ」してしまう現代ですが、担当者のみなさんには「情報の捉え方」を意識して、有意義な社内報を作っていただきたいと思います。

 

 

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